Douglas
- ※ターボプロップ・エンジン搭載の次世代輸送機開発において、ダグラス社はC-132とC-133の両機を並行して開発していた。C-132は機体サイズと性能の両面で飛躍的な進化を遂げたが、小型のC-133もC-124から大きく前進した機体であり、大型輸送機とは完全に独立した設計で開発された。1950年代初め、米空軍は貨物輸送機の完全なラインナップを整備することを決定した。小型戦術輸送機のC-134、中距離輸送機の中型C-130、中距離輸送機の長距離型C-133、そして長距離輸送機の大型C-132という構成である。C-132カーゴマスター Cargomasterは、プラット&ホイットニーT34エンジンの成功とC-124B計画の失敗を受けて、朝鮮戦争中に生産発注された。試作機は発注されず、代わりに本機は直ちに量産に移行した。しかし、この先進的な設計が急ピッチで実用化されたことが、エンジンと機体双方の退役時期を予想より早めた可能性があり、C-133が退役後の民間利用に回される機会を阻んだ。初号機は1956年に初飛行し、35機が生産された(のちにC-133A型となった)。初期のC-133A型は後部貨物ドアが内側かつ上方に折り畳める構造で、車両をそのまま積載可能だった。C-133の建造と並行して米国はICBMの生産を開始し、ミサイルを空輸する構想は道路や鉄道による輸送よりもはるかに優れた選択肢と見なされた。こうして改良型貨物ドア・システムが開発され、ドアは全て外側に開く構造となり、ICBMを機内に収容するための最大限のクリアランスを確保した。さらに15機がC-133Bとして製造された。しかしC-133の運用実績は特に輝かしいものではなく、50機のうち9機が墜落で失われ、1機は地上での火災で焼失した。新技術であったエンジンとプロペラの組み合わせの問題、そして厄介な失速特性が複数の損失を招いた。機体振動と構造的脆弱性により後部胴体が破損し、退役間近には“尾部を固定する”ための外部補強帯が取り付けられた。ロッキードC-141スターリフター Starlifterが1965年、C-5ギャラクシー Galaxyが1969年に就役すると、残存するC-133は急速に退役した。退役機数機を民間貨物機として再登録する試みもあったが、FAAは同機が民間設計基準を満たすとは認めなかった。結局、アラスカのパイプライン輸送など、通常では不可能な民間任務を遂行するための極めて限定的な運用許可を得たものの、その任務からもすぐに退役した
↑Image courtesy of Shipbucket.
- ※サターン・ロケット計画では、段階ごとにアメリカ各地で建造され、最終組立はケープ・カナヴェラルで行われた。第4段と第4-B段はカリフォルニアで建造され、パナマ運河を通る外洋輸送船で輸送する必要があった。これは途方もなく危険で、極めて時間のかかる作業だった。1960年、NASAはダグラスに航空輸送の実現可能性を検討する契約を発注した。ダグラスは、巨大な胴体を持つ新型航空機を設計する代わりに、C-133を改造し、サターン・モジュールを外部のピッグバック・カプセルに搭載するという案で対応した。同時にジャック・コンロイ Jack Conroyは、ボーイングC-97をターボプロップ・エンジンに改修し、胴体を再構築してサターン・モジュールを機内に搭載する提案で応えた。ダグラスの提案ははるかに単純で、大幅にコストが安く、最も顕著なリスクの低いプロジェクトであったが、コンロイはヴェルナー・フォン・ブラウン Wernher von Braunと親交を深めていた。フォン・ブラウンはコンロイを支持し、エアロ・スペースラインズのグッピー機群が誕生した。ダグラスの提案は、サターンやジェミニの段だけでなく、ダイナソア宇宙飛行機用の様々なサイズの宇宙船を空力的に収容するものであった。基本型C-133への改造は当初、水平尾翼への垂直安定板追加から始まった。最大カプセル搭載に必要な改造では、標準垂直尾翼を完全撤去し、H字状に配置した2つの大型安定板で置き換える必要があった。ダグラスは提案したC-133派生型のデスクトップ・モデル一式を製作し、上部に搭載する代替カプセル設計案を経営陣向け展示物として用意した
↑Image courtesy of Shipbucket.
- ※ダグラス社はさらに、C-133を用いてサターンロケット段を輸送する第二の方法を提案した。今回はC-133をサターン段を収容したグライダーの巨大牽引機として使用する方式である。この方式ではC-133への改造はごく軽微で済み、代わりに新たなグライダー設計が必要となった。ダグラスはロッキードと協力し、同社は巨大なグライダーの設計を委託された。これは実質的に自社開発のピギーバック・カプセルの独立版であった。グライダーは開閉式の前部と尾部を備え、目的地の飛行場上空で着陸のために放出される予定だった。コンロイのグッピーが契約を獲得したため、ロッキードのグライダー計画も棚上げとなった
↑Image courtesy of Shipbucket.
Update 25/11/08