ボーイング社
Boeing


※アメリカ空軍のAMST計画 AMST programmeは、C-130の後継機となるジェット推進式の短距離離着陸(STOL)戦術輸送機の開発を目的としていた。ロッキード社は当初、T字尾翼とジェット・エンジンを搭載したC-130をベースに開発を進めていたが、そののち、ダグラスYC-15に似た設計へと変更した。当然ながら、ほかの競合機も全てほぼ同じような外観だった。ボーイング社の最初の提案機であるモデル953-815も例外ではなかった。ボーイング社の設計は、胴体はほぼ変更されなかったが、翼と尾翼は大幅に再設計された。ボーイング社は、ほかの競合機が採用していた4基のエンジンによるブローフラップ方式 blown-flaps system(ジェット噴射を下げたフラップに当てて下向きに噴射する方式)を廃止し、2基のエンジンによるUSB方式(ジェット噴射を翼上面に沿って流し、下げたフラップに付着させて下向きに噴射する方式)を採用することで、STOL性能の実現を目指した。ボーイング社は、デ・ハヴィランド・カナダ社と共同で、DHC-5(C-8A)バッファローを用いて、オーグメンテッド・ウィング・ジェットフラップ Augmented Wing Jet-flap(2基のジェット・エンジンがフラップの下側から風を送る方式)と静音短距離研究機 Quiet Short Haul Research Aircraft(4基の翼上エンジンでUSB方式を作動させる方式)の両方をモデル化する研究を行っていた。興味深いことに、これら2つの試験機は、AMSTプロトタイプで使用されたエンジンの数とは逆の配置だった。これらのプログラムでの経験から、ボーイング社は提案内容を修正し、USB方式を採用することにした。製造コストと運用コストの両方を削減するため、ボーイング社はほかの提案で使用された4基の小型エンジンではなく、2基の大型エンジンを採用することにした。しかし、この決定は民間輸送機には完全に理にかなっていたが、2基のエンジンのうち1基が故障すると戦闘シナリオでの運用が不可能になるため、軍事任務には根本的に不向きな決定だった。それでも、ボーイング社とダグラス社の設計案はそれぞれ2機のプロトタイプ製造のための資金を獲得した。ダグラス社の機体はYC-15という名称を与えられ、初飛行を果たした。ボーイング社の機体はYC-14という名称で、開発はより長期にわたった。設計に関する広範な風洞試験の結果、USBを成功させるために必要な気流を得るべく、空力特性の大幅な微調整が必​​要となった。また、繊細な気流パターンを妨げないよう、尾翼の形状変更と大型化も必要となった。YC-14は試験において十分な性能を発揮し、YC-15と同様にSTOL要件を満たした。しかし、YC-15はボーイング社のライヴァル機を凌駕する性能を示した(ダグラス社の機体はM60A2戦車を搭載できなかったが)。しかし、最終的には米空軍が任務要件を変更し、AMST計画を中止したため、このことは問題にならなかった。YC-15と同様に、YC-14の試作機2機も廃棄されることなく保管された

↑Image courtesy of Shipbucket.


Update 26/03/20